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■哺乳類調査
哺乳類は環境中に様々な痕跡を残します。フンや足跡、植物などを食べたあと(食痕)などの様々な生活痕です。これらには種に独特なものもあり、それに基づいて、その地域に生息する哺乳類が分かります。ネズミなど小型の哺乳類については捕獲用のわなを仕掛ける場合もあります。以下にその具体的な方法について述べます。
- ●フィールドサイン法
- 哺乳類が残した足跡やフン、食べかすなどの痕跡(フィールドサイン)を見つけることによって、生息する哺乳類を確認する方法です。哺乳類のフィールドサインのありそうな場所を歩いて探します。
- ●トラップ法
- ネズミ類など小型の哺乳類を確認する目的で、捕獲用のわなを仕掛けて生け捕りにする方法です。捕獲用のわなとしてシャーマントラップというわなを使用することが通例です。ちなみにシャーマンというのは考案者Shermanさんに由来します。四角柱の形をしたこのわなの中にえさを入れて、片側のふたを開けたままにして地面に1昼夜ほど放置します。わなの中にネズミなどが入るとふたが閉じる仕掛けになっています。
- ●バットディテクター(bat detector:コウモリ探知器)
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虫を食べる小型のコウモリは口または鼻から超音波を発します。真っ暗な闇の中で、周囲からのその反射波を受け取って空間や餌を認知します。これをエコーロケーション(echo location)と言います。
コウモリの発する超音波の周波数帯や発するリズム等が種によって異なることが知られています。このため超音波を受信すると種を判別できることになります。この超音波の受信器がバットディテクターです。超音波は人間には聞き取れません。超音波を人間に聞き取れる音に変換する、それがバットディテクターです。
日本で確認されているコウモリは37種にのぼります。これらコウモリの発する超音波の周波数帯は種によって重なりがあります。このため厳密に種を判別できることはあまりありません。
■調査裏話
シャーマントラップは数地点にそれぞれ20個ずつ仕掛けたりします。生け捕りにしたネズミが死なないように見回りをするのですが、その地点数が増えると仕掛けるのもさることながら、この見回りがやっかいです。なぜかと言いますと、捕獲したネズミはすべて体長・体重などを計測します。ネズミがたくさん捕まっている時にはこの作業に非常に骨が折れます。